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 市民自治井戸端会議
 学習会「ポイントが貯まる図書館は快適ですか?−武雄市立図書館の事例−」(5)山本宏義さん-その5
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【山本宏義さん】
それから、図書館サービスと「付帯事業」については図書館を指定管理をするということなんですね。それにあわせて本屋をやったり、カフェを入れたりという話ですよね。そこは付帯事業ということになるわけでして、それが図書館の関連でどういう必要性があるかということを指摘したものですね。それから4番目は安定的な労働環境、いままで働いていた人たちがきちんと生活が保障されるのか、このとき思ったのは開館時間を従来10時から6時までだったのを9時から9時までにするということですね。そうすると1日4時間ぐらい労働時間は増えるということになるんですね。休館日も年中無休にするということですね。そうすると計算しないとわかりませんが、かなり労働日数が増えるわけですね。だけれども、指定管理料は今まで図書館にかかっていた経費そのままだというんですね。そうすると、物理的には仕事は増えているのに、だいたい経費はそのままということであれば、一人あたりの収入は減る計算ですね。単純に。それから、図書館利用の情報というのはTポイントの問題です。これはあとでちょっと申し上げます。

それから、6番目は図書館利用へのポイント付与、つまり図書館を利用することによってポイントを付与するということはどういうことなのかということですね。ほかの商店と違って。そういったことを図書館協会が1年ちょっと前の時点で指摘をしています。それから、あと地方公共団体の運営方法ということで、市長が作る図書館と市民が作る図書館ということで、これは伊万里を見学して思ったものですから、こんな言い方をしていましたけれども、武雄の方は市長が一人で決めて一人で課長の代わりもやり部長の代わりもやり、一人で何役もこなして、広報部長も何でも一人で市長がやっているんですね。これが伊万里というのは作る段階から市民が知恵を集めて、準備の段階から市民が力を提供して作り上げて、できあがった図書館も市民が一緒に運営をしていくという非常に対照的なものなので、あとでスライドを見ていただきます。

それから、Tポイントと個人情報という問題ですけれども、そこに図書館の自由に関する宣言というのを抜粋でくくりました。この図書館の自由に関する宣言というのは、1954年に図書館協会が行った宣言です。これは協会がやったのだから協会だけが守ればいいの、というのはまあそうなんですけど、やっぱり図書館関係者が等しく守るべき規定です。これは図書館のために守っているのではなくて、利用者のために作った宣言なんですね。利用者が自由に必要な資料を入手し、自分のいろいろな必要なものに使っていくことができる、そのことを守るために図書館はこういうことをしなければいけないということを宣言したのが、図書館の自由宣言なんですね。それの第3番目のところに、図書館は利用者の秘密を守るということが書いてありまして、その中の利用者の読書事実、利用事実は、図書館が業務上知り得た秘密であって、図書館活動に従事するすべての人びとは、この秘密を守らなければならない。つまり、利用事実と読書事実ということですね。利用事実というのは図書館に来たことも含まれます。いつ図書館に来た、いつ図書館に来なかった、逆もそうですね。それから読書事実というのはどんな本を借りたか、どんな本を読んだかというのはわかりませんね、借りたか借りなかったのか、というようなことですね。それから、コピーをするときには図書館では申込書を書かせるのがほとんどですけれども、そういうのも利用事実と読書事実にかかわることですね。

これに対して、Tカードでの武雄市図書館利用に関する規約を載せました。細かい字で書いてありますけど、申し上げたいところだけ抜粋しました。これは、武雄市図書館とCCCとTポイント・ジャパンの3者で結んだ規約ですね。その第3条のところを見ていくと、「(1) 図書館利用者情報のCCC・TPJへの提供とCCC・TPJによる利用。3つめ、CCCは、「T会員規約」第4条の定めにかかわらず、T カードを提示して利用された会員の情報のうち、ID紐付会員に対しポイントを付与するために、個人を特定しない利用情報(Tカード番号、利用年月日、利用時刻、ポイント数)に限り、これを取得します。TPJ はTポイント付与と、T会員自らがTポイント付与に伴うサービス利用状況を把握する目的で、個人を特定しない利用情報(Tカード番号、利用年月日、利用時刻、ポイント数)に限り、図書館から取得するものとします。」最後に「CCC及びTPJは、取得した利用情報であっても、ID紐付会員が図書館を利用した事実を含む利用情報を、ポイントプログラム参加企業を含む第三者に提供いたしません。」というように書いてあるんですね。ところが、図書館の指定管理者になっているのはCCCなんですね。Tポイントジャパンは指定管理者ではないんですよ。これは少なくとも図書館と指定管理者という関係からいうとTPJは第三者なんです。個人を特定しない情報と書いてありますけど、ID番号を提供しているわけですから、ID番号というのは個人を特定するためにつけられている番号じゃないですか。よくこんな規約書いたなと思いますけど。とにかくそういう実態でして、図書館の自由宣言という観点からすると非常に大きな問題だと思います。

ただ、実際にTPJがどんな利用の仕方をしているかというと、一切わかりませんから何とも言えませんけれども、善意に考えればいわれたとおり何もほかのことには使っていないということかもしれませんし、わかりませんけれども、文字面から見り限りではそういう危惧があるということですね。ただ、Tポイントのことを思うと、先ほどいいましたとおり、20代、30代の人たちが50%以上利用しているということですね。彼らにいわせますと、あまりこれが問題だという感覚がないようなんですね。学生に聞きますけれども、あまり問題意識持っていないですね。わたしなんかはAmazonでたまに本を買いますけど、そのあとで似たようなテーマでお薦めの情報を送ってくれますよね。あれなんか非常に気持ち悪いなと思っているんでけどね、正直。でも、彼らにいわせると、自分が何もしなくていろいろな情報をくれて、そのなかで欲しいと思えば買えばいいし、そうでなければ放っておけばいいんだし、便利じゃないのというような感覚なんですね。ですから、そのあたりが私なんかが目くじら立てていうのとだいぶ違ってきている。だからTポイントが付くの、付かないの、そんなことでとやかく言うことじゃなくて、ポイントが付くならいいんじゃないのという意見というのはかなり若い層を中心にあるんだろうと思います。結局武雄の図書館にお客さんが増えたというのは、そういう若い層が増えていますね。見た感じでは。それから、市外からやってくる人たちは、私みたいな図書館関係者は結構年配の人もいますけど、一般の人は結構若い人が来ていますね。それから、貸し出しのカウンターのところに貸し出しの手続きが自動でできるんですけれども、その機械で同時に本の購入もできるんです。クレジットカード、現金でもできるんですけれども。そういうのを見ていると結構20代、30代ぐらいの人が使っていて、へーと私なんかは思いましたけど。

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